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常識を疑うことは大切です。私たちは毎日、口から水分や栄養を摂取して生きています。しかし、歯と口に関する日常習慣の中に、健康寿命を脅かす危険な癖が存在します。

日々の臨床で多くの方を診る中で、これらの危険性を知らない方が多いのです。そこで今回は、特に問題となる5つの危険な習慣をお伝えします。

これらは、「指しゃぶりが出っ歯の原因になる」といった、よく知られた話ではありません。人生100年時代を生きる私たちにとって、これから紹介する5つの習慣は重要です。一つでも心当たりがあれば、お役立てください。

ぜひ最後までお読みください。

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あなたが毎日やっているかもしれない、健康寿命を縮める歯と口からの危険な習慣Top5

第5位 朝起きて最初にやる事が歯磨きでない人

「なんだ、いまさら歯磨きかよ…そんなの毎朝やってるよ」と思われるかもしれません。しかし、問題はその順番なのです。

健康寿命を延ばすための正しい朝の歯磨き

健康寿命を維持するため、朝の歯磨きや酸蝕症対策など、歯と口の健康を保つための習慣改善ポイントをご紹介。

よく「寝起きに一杯の水を飲むと健康によい」と言われますね。その通りですが、一杯の水を飲む前に歯磨きをしないと危険だということをご存じでしょうか。

「朝食後にどうせまた磨くなら、後でいい」と思う方もいるでしょう。

しかし、人は夜、口を少し開けて寝ることが多く、食事をしないため唾液の循環が減り、自浄作用が低下します。そのため、寝起きの口は乾いていて、口臭がすることもあります。

寝起きの口内環境と健康寿命への影響

実は、寝起きすぐの口の中は細菌だらけです。寝る前の歯周ポケットに残った歯周病菌が、夜中に増殖するのです。

そのため、口腔ケアに熱心な人でも、朝は最も汚れています。日本人の大人の8割は、歯周病と言われています。

寝る前に歯磨きをしても、歯周ポケットの菌は残ります。これらの菌は、朝起きたときにピークに達します。つまり、一日で最も歯周病菌が多いのは、起床直後なのです。

健康寿命を維持するため、朝の歯磨きや酸蝕症対策など、歯と口の健康を保つための習慣改善ポイントをご紹介。

歯周病菌が腸内環境と健康寿命に与えるリスク

さらに、寝起きすぐの胃腸は活発に働いていません。

健康寿命を維持するため、朝の歯磨きや酸蝕症対策など、歯と口の健康を保つための習慣改善ポイントをご紹介。

この状態で口腔内細菌を飲み込むと、胃を通過し腸に到達するリスクが高まります。そのまま水を飲んだり朝食を取ると、口の中の歯周病菌が胃から腸に送り込まれます。

以前は、口腔内細菌は胃酸で破壊され、大腸には届かないと考えられていました。しかし最近の研究で、新たな事実が明らかになりました。唾液中の口腔内細菌、特にPG菌と呼ばれる歯周病菌は耐酸性があります。そのため、これらの菌は胃を通過し、腸内に定着することができるのです。

腸内細菌叢の変化と健康寿命への影響

口腔内細菌叢と腸内細菌叢は、多くの種類の細菌が独自の共生関係を築き、安定しています。しかし、安定している腸内細菌叢に、毎日少しずつ口の細菌叢から歯周病菌が侵入してたまってくると、腸内細菌叢に変化が起こり始めます。この細菌叢の構成異常を「ディスバイオシス(dysbiosis)」といいます。

例えるなら、ある国に移民が増えてくると、もともとの文化とは違う別の文化が形成され、衝突が起きることがあります。腸内細菌叢の世界でも同じような現象が起こるのです。

歯周病菌と全身疾患の関係が健康寿命を左右する

腸内細菌叢は、体の免疫機構をつかさどる重要な場所とされています。この細菌叢のバランスが変化し、ディスバイオシスが起きると、体質や体調も徐々に変化していくと考えられています。

歯周病菌が関連する疾患一覧

最近、腸内細菌叢の変化が全身の疾患に大きな影響を与えていることがわかってきました。特に、腸内細菌叢への歯周病菌の影響が全身疾患に関与しているという論文が多く報告されています。

例えば新潟大学歯学部の山崎和久名誉教授が2023年のマイクロバイオームサイエンスという書籍に載せた研究論文のひとつなんです。「歯周病と全身疾患の相互作用を口・腸連関から考える 」という論文もその中の一つで、その内容はセンセーショナルなものでした。

具体的な疾患は以下のとおりです。

  • 脳卒中、脳梗塞、アルツハイマー型認知症
  • 冠動脈心疾患、すい臓がん、慢性腎疾患
  • 炎症性腸疾患、結腸直腸がん、Ⅱ型糖尿病
  • 非アルコール性脂肪性肝疾患、関節リウマチ
  • 骨粗しょう症、早産・低体重児出産

これらの病気は、明確な原因が特定されていないものが多く、いくつもの要因が重なって発症します。その中で、口腔内の歯周病菌が要因の一つとして挙げられてきたのです。

歯周病菌が健康寿命に与える驚きの影響

歯周病菌が、がんやアルツハイマー型認知症と関係していると聞くと、驚かれるかもしれません。しかし、実際に多くの全身疾患と関係していることが研究で明らかになってきています。

かつて、100歳で歯が全くなくても元気だった「きんさんぎんさん」というおばあさんたちをご存じでしょう。彼女たちは歯がなかったため、歯周病菌で腸内細菌叢が乱されることもなく、全身疾患もなく長寿を全うできたのかもしれません。

もちろん、歯があることは大切ですが、残された歯の管理が悪く歯周病になっていると、さまざまな病気のリスクの温床にもなってしまいます。

8020運動の目標と健康寿命への影響

8020運動は日本歯科医師会が提唱する運動です。これは「80歳で20本以上の歯を保つ」という目標を掲げています。多くの方がご存じかもしれません。

本来の目的は、健康に管理された歯が20本以上残ることです。しかし、末期の歯周病で歯がぐらつくことがあります。自身で清潔に保てない状態の歯が残ると問題です。かえって細菌が繁殖しやすい環境となります。

健康寿命の観点からもリスクが高まります。特に介護が必要な高齢者の場合は注意が必要です。歯周病が進行した状態の歯は問題となります。口腔内を清潔に保つ妨げにもなり得るのです。

健康寿命を守るための終活としての口腔ケア

口腔ケアが十分に行えなくなった場合、健康を維持するためには「歯を抜く」という選択肢も必要です。

従来の「できるだけ歯を残す」という考え方を見直す必要があります。歯周病が進行し管理が難しくなった歯は、抜歯を行うべきです。これにより、清潔な口腔環境を整えることができます。

こうした新しい発想が求められることがあります。また、このようなケアは健康寿命を延ばすための終活としても重要です。

歯周病菌が健康寿命に及ぼす影響:アルツハイマー病との関連

2019年、アメリカのサイエンスアドバンシス誌にて、ステファン・ドミニー博士らの研究が報告されました。アルツハイマー病患者54人の脳を調べたところ、96%から歯周病菌であるPG菌が産生する毒素「ジンジパイン」が発見されました。

さらに、2020年には国立長寿医療センターが新たな発表を行いました。このジンジパインがアルツハイマー病に関与していることが明らかになったのです。これにより、歯周病が脳にも悪影響を及ぼす可能性が示唆されています。

歯周病を予防することで、認知症リスクの低減に繋がる可能性もあります。そのため、歯周病予防は健康寿命を保つ上で重要な課題といえるでしょう。

重度歯周病が健康寿命に与えるリスク:日中に拡がる口腔内細菌

重度の歯周病にかかっている方は、口腔内に歯周病菌が浮遊しています。この状態は朝だけでなく日中も続きます。

そして、唾液と共に少しずつ体内に取り込まれる状態になります。

これにより、消化器系や腸内環境に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、全身の健康にもリスクが高まると考えられます。そのため、口腔内の衛生状態を整えることが重要です。また、歯周病の進行を防ぐことで健康寿命を保つことができます。

健康寿命に関わる唾液中の歯周病菌と腸内環境

人が一日に飲み込む唾液の量は約1.5リットルに及ぶとされています。

しかし重度の歯周病患者の場合、唾液中に含まれる歯周病菌の量は非常に多くなる。新潟大学の山崎教授の研究によれば、PG菌は10の9乗から10の10乗と膨大な数に上ることが分かっています。

このような大量の菌が体内に取り込まれると、徐々に腸内の細菌バランスを乱します。そのため、健康寿命にも影響を及ぼす可能性が高まります。

歯周病菌が全身に及ぼす影響と予防策

健康寿命を保つためにも、朝起きたら一杯の水を飲む前に「歯磨き」と「舌磨き」を行う習慣が重要です。

これによって口腔内の細菌を減らし、腸内に影響を与えるリスクも抑えられます。歯周病菌は、唾液と一緒に体内に入る「消化管性伝播」があります。また、口腔内で出血している歯茎の毛細血管を通して血液に入り込む「血行性伝播」もあります。

これらによって、歯周病菌が全身へ影響を及ぼすことが確認されています。

この菌血症のリスクがあるため、抜歯や歯科治療の後には献血が控えられるのです。特に口腔ケアが行き届いていない方は、プラークや歯周病菌の量が多くなります。そのため、感染リスクもさらに高まると考えられます。

健康寿命を守るためのスウェーデンの歯周病治療法

口腔ケアが進んでいるスウェーデンでは、歯石除去に工夫があります。

「ペリソルブ」という薬剤を使用するのです。この薬剤を歯周ポケットに注入します。すると、歯石が柔らかくなります。そのため、出血を抑えながら除去できます。この方法で菌血症のリスクも軽減されます。

効果的な歯周病治療アプローチといえます。

朝食前の歯磨きが健康寿命に寄与する理由

食事前の歯磨きは口腔内の健康に重要です。食後すぐの歯磨きには注意が必要です。食事中の酸で歯の表面が柔らかくなります。

そのため、ブラッシングで傷つきやすくなります。特に朝は口内が酸性になりやすいのです。柑橘類やジュースがその原因です。朝食後に歯を磨く場合は注意が必要です。少なくとも40〜50分置くことが推奨されます。

ただ、忙しい朝、そんなに歯ブラシのためだけに待ってられませんよね。ですので、歯のためにも、腸のためにも、朝起きたらまず一番先にすることは歯磨きと舌磨きする習慣にすることをお勧めします。

第4位 酸蝕症の恐怖:酸性の飲食物が歯を溶かすリスクと健康寿命への影響

口腔内が酸性に傾いている時間が長いと、歯が溶け始める「酸蝕症」のリスクが高まります。

歯は無機質のミネラルでできています。そのため、酸性の環境下ではエナメル質が溶けやすくなります。酸性飲料や食べ物を口にした後は、水やお茶で口をゆすぎましょう。

これにより、酸性に傾いた状態を早めに中和できます。長時間酸にさらされると、虫歯でなくても歯がしみたり溶けたりします。これが酸蝕症を招きやすくなる原因です。

酸蝕症の症例:酸性の食べ物が健康寿命に与える影響

ある患者さんが来院されました。「最近歯が小さくなり、あちこちがしみる」との訴えでした。食生活をうかがったところ、次のことがわかりました。

毎日グレープフルーツやレモンを頻繁に摂取しているのです。

診察の結果、酸蝕症がかなり進行していました。エナメル質が溶け、象牙質が露出している状態でした。グレープフルーツやレモンは酸性が強い食べ物です。そのため、摂取後は中和する必要があります。

つまり、酸の余韻を楽しみたくても注意が必要です。酸性が長く停滞すると、リスクが増すからです。

長時間の飲食習慣が酸蝕症を招く理由

一般的に食後しばらくすると、唾液の緩衝作用によって口腔内の酸性は中和されます。

しかし、長時間にわたり酸性飲料や柑橘類を摂取し続けると、問題が生じます。

唾液の中和が追いつかず、酸蝕症のリスクが高まるのです。そのため、特に注意が必要な習慣があります。例えば、のど飴を一日中なめ続けることです。また、缶コーヒーを長時間かけて飲む習慣も危険です。

酸蝕症の初期症状と健康寿命を守る予防策

軽度の酸蝕症の場合、エナメル質が部分的に減少し、象牙質が見え始める段階です。知覚過敏を訴える方の中には、実は酸蝕症が原因というケースも多く見られます。

例えば、酸蝕症のリスクを示すデータとして「ステファンカーブ」があり、口内に酸性の食物が停滞する時間が長いほど歯の表面が溶けやすくなることが確認されています。

逆流性食道炎と酸蝕症の隠れた関係

お酢や柑橘類をあまり摂取しない方も油断はできません。夜間の逆流性食道炎により胃酸が口まで上がる「隠れ酸蝕症」が発生する場合があります。隠れ酸蝕症ともいえます。ご自分では気付きにくいのが特徴です。

しっかりと歯磨きしてプラークコントロールもできていて、きちんとした食生活習慣なのに、なぜかいつも虫歯ができやすいといった、タイプの方はこの可能性大です。

胸やけや胃腸の不調がある場合には、歯の健康にも影響が出やすいので、医師に相談して原因を確認することが望ましいでしょう。逆流性食道炎は、主に胃腸の弱っている方、コーヒーを多く飲む大人、歳をとって内蔵の筋肉が弱ってきたご年配の方などに起きやすいといわれているようです。

簡単にできる酸蝕症予防法

酸蝕症対策として、重曹水によるうがいが効果的です。500mlのペットボトルに小さじ1杯の重曹を溶かし、一日3回程度、酸性の飲食後に口をゆすぐことで酸性状態を中和できます。重曹水の緩衝作用が、酸性の口腔環境を中性に戻し、歯を保護する役割を果たします。

第3位 歯牙接触癖TCH(Tooth Contacting Habit)

上下の歯が無意識に接触している「歯牙接触癖(TCH)」は、顎や咀嚼筋に負担をかけ、さまざまな口腔トラブルの原因になります。例えば、スマートフォンを長時間下向きで見る習慣があると、自然と下顎が上顎に接触しやすくなります。多くの現代人にとってこの「うつむき症候群」ともいえる生活スタイルが、TCHのリスクを高める一因といえます。

TCHと顎関節症の関連性

東京医科歯科大学第1口腔外科の顎関節治療部の木野孔司先生らのグループはこの歯牙接触癖の事をTCHという言葉として過去に発表しました。TCHは「Tooth Contacting Habit(歯牙接触癖)」を指します。

その研究論文では、TCHを顎関節症の疼痛症状に影響を与える寄与因子として取り上げています。

TCHがあると、自覚がないまま上下の歯が接触し、咀嚼筋が常に緊張状態になるため、口腔内に負荷がかかり続けます。このような無意識の習慣が、やがて顎関節症や顎顔面の痛み、知覚過敏といった症状を引き起こすリスクを高めます。

TCHのチェックポイント:スキャロップ舌や頬粘膜の圧痕

TCHの見分け方として、舌の側面に歯の跡がつく「スキャロップ舌」や、頬の内側にスジができる「頬粘膜圧痕」があります。

これらは、無意識に舌や頬に圧力をかけている証拠で、口腔周囲の筋肉に疲労が蓄積している状態です。長期間このような癖が続くと、筋肉の疲労から顎の痛みやブラキシズムと呼ばれる歯ぎしり、知覚過敏など、さらなる健康リスクが生じます。

ナポリ大学の2010年の研究でも、持続して歯を接触させる習癖が顎顔面痛や顎関節症のリスクファクターにもなると報告されているようです。

無意識の習慣がもたらす歯への影響

特定の歯が長時間接触している場合、その歯が疲労して位置がずれることもあります。

たとえば、歯軋りが続くことで前歯が前方にずれる例もあり、歯並びやかみ合わせにも影響が出ることがあるため注意が必要です。TCHの影響は自覚が難しい点にあります。日常生活に密接しているため、意識的に気をつけることが肝心です。

TCH対策:姿勢の見直しと口腔筋リラックス法

TCHを防ぐためには、口腔周囲筋の緊張をほぐすことが効果的です。(下向きの姿勢を減らす・20分ごとに首を回す・空を見上げるなど)スマートフォンを見る際もできるだけ頭を上げ、歯と歯が無意識に触れ合わないよう心がけましょう。

本当はスマホ見る時は上向いてみる方がいいんですが変な人だと思われるので無理ですよね・・

第2位 口呼吸:健康寿命と口呼吸のリスク

口呼吸を続けると、鼻のフィルター機能が使われず、空気中のウイルスや細菌が直接気道から肺に入り込みやすくなります。そのため、感染症にかかりやすくなり、免疫力が低下し、風邪をひきやすい体質になりがちです。

また、口呼吸により口内が乾燥すると唾液の自浄作用が減少し、虫歯や歯周病が進行しやすくなります。

口呼吸が子どもの顎顔面成長に与える影響

小児期から「ぽかん口」(口呼吸の習慣)があると、集中力の低下や歯並びの乱れが生じやすくなります。ヒトの顎顔面の形態は11〜12歳頃までに約90%が完成します。

この時期に口呼吸があると顎や顔の骨格の正常な発育が妨げられ、かみ合わせの異常や不正咬合が生じやすいと指摘されています。鼻炎やアデノイド増殖症があると鼻呼吸が難しくなり、慢性的な口呼吸に繋がりやすくなります。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群のリスク

口呼吸の習慣が子どもの頃から続くと、成人してからも顎顔面形態の変化が続き、閉塞性睡眠時無呼吸症候群を引き起こすリスクが高まることが分かっています。

2023年の日本小児呼吸器学会と日本小児耳鼻咽喉科学会の合同シンポジウムでも、口呼吸が将来の睡眠障害リスクに関連することが発表されています。

お子さんの口呼吸対策:家庭でできる予防法

お子さんが「ぽかん口」になっている場合、まずは口を閉じて鼻呼吸を促すように観察と指導が重要です。もし口呼吸が改善しない場合は、早めに医師に相談し、必要な対策を検討しましょう。家庭で行える方法としては、鼻うがいによる鼻の通りの改善や、夜間に口にテープを貼って強制的に鼻呼吸を促すことも効果的です。こうした口に貼るテープはドラッグストアで手に入ります。

不正咬合が健康寿命に及ぼす影響

かみ合わせが悪いと、高齢になってから歯の本数や寿命に影響が出やすいことがわかっています。

2001年に出された東京歯科大学歯科矯正学教室と千葉市歯科医師会による調査結果には興味深い発見があります。

→ 「8020達成者の口腔内模型 および頭部X線規格写真分析結果 について

この調査によると、80歳以上でも歯を25本以上保持している方は、反対咬合や開咬などの不正咬合がほとんど見られないことがわかりました。この結果から、若いうちに顎顔面のかみ合わせを整えることが、健康寿命を延ばすためにも重要であるといえます。

第1位 1年以上歯科検診や、歯のクリーニングをしたことがない人

歯に異常がなくても、しかし検診を受けず口腔内を確認しない方は多いです。また、毎日歯磨きをしても磨き残しは必ずどこかに蓄積してしまうものです。

そのため、歯科検診でプロに見てもらうと気づけない磨き残しが確認できます。結果として古いプラークの蓄積を防ぐことができるのです。

さらに、半年から1年に一度のクリーニングで歯石やプラークが除去されます。このため、歯周病リスクも抑えられます。

歯周病のリスクと予防の重要性

歯周病は「沈黙の病」と呼ばれ、症状が出るころには既に進行している場合が多い病気です。歯茎の出血や歯のぐらつきなどの症状が出ると、治療が困難なステージに達していることが少なくありません。

そして症状が進行すると、定期メンテナンスだけでは歯周病の悪化を防ぎきれません。頻繁な治療が必要なケースも増えます。

歯周病治療で来院される方の中には「ぐらつく歯だけ治したい」と希望される方もいますが、歯周病の改善には口腔全体の管理が必要です。

部分的な治療では、他の歯も悪化する可能性が高く、根本的な改善には至りません。自覚と継続的なケアがないと、年齢と共に歯の喪失が進行します。

歯周病と全身疾患の関係:がんリスクの上昇

歯周病が放置されると、全身の健康にも大きな影響を及ぼします。

ハーバード大学のLo博士らの2020年に出した論文によれば、2つのコホート研究で、

  • 歯周病歴がある人は食道がんのリスクが43%上昇し
  • 歯の欠損がない人に比べて、歯を2本以上欠損している人では食道がんのリスクが42%も上昇

することを報告しています。この研究の対象者は1988年から2016年までの女性約10万人、男性5万人の合計約15万人からのデータということになりますからかなり信用できるものです。

健康寿命を延ばすための予防的口腔ケア

そして、歯科検診で自分の歯のプラークの磨き残しを指摘してもらって下さい。そうすれば、毒性の高い磨き残しの古いプラークがなくなり、歯周病にならずに多くの別の病気のリスクも同時に減らせます。

つまり口腔ケアは、一番簡単でお金のかからない効果の高い健康予防習慣ということになります。

スウェーデンやフィンランドでは、口腔ケアが健康保険でサポートされています。そのため、予防に重点を置いた健康管理が浸透しています。がんや認知症のリスクまで抑える効果があるとされる口腔ケア。その重要性は、日本でももっと重視されるべきでしょう。

予防的ケアのすすめ

保険制度が疾病治療に偏らず、口腔ケアや予防にも使えるようになることが望まれます。予防的な口腔ケアは費用も手間も少なくいです。健康寿命を延ばすための手軽で効果的な方法でしょう。

病気になってから治す日本の疾病保険主体の健康保険制度から脱する必要があります。本来は予防に使う健康保険制度であってほしいものです。

ここまでご覧いただいたあなたなら、もう大丈夫です。 すぐに実践できますし、お金もかかりません。

まとめ

以上5つの危険な習慣いかがだったでしょうか。毎日のように続くと、大変なことになる歯と口からの危険な5つの習慣。ご理解いただけましたでしょうか。

最後にもう1回おさらいしますと

  • 第5位 朝起きた時に最初にするのが歯磨きでない人
  • 第4位 酸蝕症の恐怖
  • 第3位 歯牙接触癖TCH
  • 第2位 口呼吸
  • 第1位 1年以上歯の検診やクリーニングを受けたことがない人

いかがだったでしょうか。その習慣を変えられるか変えられないかそれはあなた次第です。

また、当院では歯科情報を様々に発信していますのでぜひご覧ください。

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