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酸蝕症が原因で歯が溶ける3つの原因と症状について

「最近歯がしみてしょうがないし、奥歯がすべってしっかりと噛み合わなくなってきた感じがするので診てほしい」と訴える女性が来院しました。

歯が痛い女性彼女は水を飲んだだけで強い痛みを感じ、ほとんどすべての歯にしみると話しました。

自分では虫歯のような穴があいている気配はなく、何か悪い病気にかかってしまったのではないかと心配していました。

隣り合う歯の間に隠れ虫歯がある場合もよくありますが、早速レントゲンを撮り口腔内を確認しました。

虫歯は…無かった…では酸蝕症が原因?

レントゲンの結果、虫歯は一つも見つかりませんでした。

では、なぜ彼女は口全体がしみて痛み、噛み合わせが悪く感じるのでしょうか。その答えは「酸蝕症」でした。酸蝕症とは、歯が酸によって溶けることで引き起こされる現象です。

この方に、日常の生活習慣について伺ってみました。

食生活が酸蝕症の原因に

彼女はグレープフルーツやお酢が大好物で、酸性の食品を常習的に多く摂取していることが判明しました。

酸蝕症により、歯の噛む面が酸で溶け、歯の表面の凹凸がなくなり、のっぺらぼうのようになっていました。

歯のエナメル質が溶け、その下の象牙質が露出している状態です。これは強度の知覚過敏を引き起こします。

他の方の酸蝕症写真

別の日に来院した男性も酸蝕症で、歯の溶け具合がひどいものでした。

酸蝕症の男性患者

この男性は大のレモン好きで、1日中レモンをかじっているとのこと。

彼の主訴は「歯が痛くてしょうがない」というもので、虫歯が進んだのではと心配していました。

レモン

酸蝕症が歯を溶かす他の3つの原因

酸蝕症が歯を溶かす原因には以下の3つがあります。

  1. 酸性の強い食品の過剰な摂取
  2. 食生活習慣(ダラダラ飲み、ダラダラ食い)
  3. 逆流性食道炎

1. 酸性食品の過剰摂取

先述の通り、グレープフルーツやお酢など酸性の強い食品を頻繁に摂取することで、歯のエナメル質が溶けやすくなります。

2. 食生活習慣

例えば、サラリーマンが仕事中に缶コーヒーや炭酸飲料を少しずつ飲み続けると、口の中が常に酸性状態になり、歯を徐々に溶かします。これが真の虫歯の原因にもなります。

3. 逆流性食道炎

中高年以降に多い逆流性食道炎は、胃液の酸が口の中に戻り、歯のエナメル質をゆっくりと溶かし始めます。歯周病が進行している場合、酸性の環境はさらに悪影響を及ぼします。

酸蝕症の防止方法

生活習慣の見直しが基本

酸蝕症を防ぐためには、まず酸性食品の摂取方法を見直すことが重要です。酸っぱいものを食べた後は、水やお茶で口をしっかりとすすぎ、口の中の酸性状態を中和しましょう。また、ダラダラ飲みや食いを避ける習慣も大切です。

胃腸疾患の影響にも注意

胸やけなどの胃の症状がある場合は、内科で逆流性食道炎のチェックを受けることが必要です。酸蝕症は放置すると歯に深刻なダメージを与えるため、早期の対応が求められます。

すでに溶けてしまった歯の対策

補綴物による回復か、神経を取る

歯がひどく溶けてしまった場合は、クラウンなどのかぶせ物で歯の形を回復させる方法があります。痛みが強い場合は、神経を取って痛みを抑える治療が必要です。セラミックやジルコニアなどのメタルフリーな素材を使用することをお勧めします。

自費の素材となるため高額ですが、健康保険での対応が難しい場合、樹脂のかぶせ物も選択肢となります。

詳しくは、こちらのユーチューブ動画をご参照ください。

初期段階であればミネラルパックで回復の可能性も

初期段階では、MIペーストを使用して歯の脱灰部分をミネラル補給し、再石灰化を促す方法があります。

食後30分程度、唾液を循環させることも重要です。MIペーストは歯磨き後に歯に塗布し、約10分間そのまま保持します。

牛乳由来の成分なので牛乳アレルギーの方は使用できませんが、基本的に安全です。唾液の緩衝作用も歯の再石灰化に役立ちます。

と、意外と知られていない「酸蝕症」とその背景、原因、そして「歯が溶ける」ことについての内容でした。皆様の口腔内のお悩み解決に繋がれば幸いです。

また、当院では歯科情報を様々に発信していますのでぜひご覧下さい。

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