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治しても治しても、また何か月か何年かして同じ場所がダメになってくる経験をされた方はありませんか。

せっかくなおしたのに、また同じところがダメになってしまった…なぜなんだろうと。

今までに多くの研究者がさまざまな実験結果から報告していることを総合すると歯がダメになる大きな理由には大きくわけて2つあります。

  1. 清潔な口腔内を保っていない場合
  2. 特定の歯だけに力がかかるようなバランスの悪い噛み合わせでないこと

1つ目は分かりやすい問題です。ブラッシングの習慣づけや磨き方が良くないなどの原因で、口の中の環境が改善しておらず、何度も抵抗力が落ちる度に再発するパターンです。

歯磨きの問題ではなく、噛み合わせの可能性も

もし歯磨きの習慣としての口腔ケアはしっかりできているにもかかわらず、何度もその場所がダメになったり、ほかの部分もだめになってくるのであれば、噛み合わせの全体のバランスがよくない、ひずんだ状態のままであり、症状の出た場所の治療しかできていないことから、噛み合わせるたびにおこる「力の干渉」が結果的に蓄積してダメになった可能性が大きいです。

歯並びをよくする矯正治療は、決して見た目だけをよくする治療ではないのです。機能的にも対応できる口腔内環境を作ってやることで、歯や歯周組織、顎関節への負担を減らせる結果、それらの器官が長期的に守られるということになります。

 

(図1)

(図1)

噛み合わせが原因だった症例

一つの例として症例(図1)をご紹介しましょう。

この方は、初診時、噛み合わせが見た目的にも明らかによくないのはわかりますが、その状態によって奥歯の咬合干渉が強く、しみてしょうがない歯がありました。

そのため、当院へ来院される以前に、しみるという原因で歯の神経を取られてかぶせ物が奥歯に多数入っていた状態で来院された方でした。ご

自身では歯磨きをよくしており口腔ケアにもずいぶん気を使っているのにどうして何度も歯を削る治療が必要なのか、本質的な原因を調べてほしいという理由で総合治療を希望された方でした。

総合治療は、先にあげた2つの原因のどちらがこの方の原因かを調べるとことから始まります。この方の口腔ケアや清掃状態には基本的に問題はありませんし歯周病でもありませんでした。なので、2つ目の咬合状態の審査診断を始めました。

顎機能精密検査

咬合状態を知るためには、様々な方法で顎機能精密検査をします。顎の動きをコンピューターで解析したり、夜間の歯ぎしりでこすれあう歯をを調べたり、横からの骨格の上下のバランスや咬合する面の角度などを実際の模型やレントゲン写真から測るなど、かなり多角的に調べ上げます。

そしてどうしてその不正咬合が成長発育の段階で起きたのかということまで考えたうえで、その不正咬合の要因を取り除くような方法で矯正治療を行います。次に必要に応じて以前のひずみのある状態のままかぶせられていた機能的でないかぶせ物などの修正を含めた補綴治療を最後に施して安定した状態を作り上げました。

総合治療終了後(図2)

総合治療後「嚙み心地がとても軽くなってよかった」

結果的に、総合治療終了後(図2)、見た目は当然よくなりましたが、何よりも大切なことは、噛むたびに発生する咬合力が上下の歯にバランスよく伝わることができるようになったことから、各歯牙にかかる力が分散されて嚙み心地がとても軽くなってよかったと喜んで言われた点です。

また、このような良い咬合状態は、寝ているときのブラキシズムなどの歯ぎしりが起きても、特定の部分に負担がかかりすぎないために、長期的な安定性が保たれやすい環境であるということです。現在でも10年以上経過していますが、基本的にはメンテナンスのみの定期的な来院をされているだけですんでおり、他のトラブルは起きておりません。

歯科治療は、その選択肢がとても多く、このことは、かぶせ物の素材が単に違うといった単純な問題だけでは済まされないことが実はとても多いのです。

本当は本質的な総合治療が必要でも、保険治療だけの「そこだけ治療」で主訴がとりあえず目先収まったらもうそれで終わりといった例がとても多い現状を、残念に思うことがあまりにも多い毎日です。

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