上下の不調和な咬合面形態によりおきてしまった症例
かぶせ物(ブリッジ)の歯茎がよく腫れるとのことで来院された患者さんのレントゲン写真ですが歯を支えている周りの骨が溶けて無くなってきているのがわかります。
動揺が激しく保存不可能でしたので抜歯された状態です。
歯の周りには多数の歯石がこびりついておりました。
向かい合っているかぶせ物との精密なかみ合わせが調整されていないために、歯根と骨との間に絶えず加わり続けたジグリングフォースという横揺らしの力で歯根の周りの組織にゆるみや断裂が生じた結果、磨き残しのプラーク中の細菌の進入をゆるしてしまい、縁下歯石ができた結果、骨の吸収が起きてきたものと考えられます。
この方のブリッジがだめになった大きな原因は
- 前歯領域の形態的、位置的な歯のガイダンスの不足のために、臼歯部への為害性のある咬合力の負担過重(オーバーロード)よる歯根膜の疲労断裂
- 入れられたブリッジの咬合面形態の不備と調整不足
- ブリッジの付け根の部分の清掃方法(歯間ブラシなど)を知らずに怠っていた
顎はダイナミックに動き、その動きの邪魔にならない上下の噛み合せの形態は慎重に作らないと、長期的には抜歯という最悪のシナリオを提供してしまうことになりかねません。
長期的に安定した状態を保てるためには3つの大きな条件があります。
- 顎の動きに調和した歯並びと歯の形態であること
- 毎日付着するバイオフィルム(細菌被膜)を取り除き清潔な口腔状態を保つ
- 隅々の取り残したバイオフィルムの定期的なクリーニングによる除去