コロナも世界的に少し収束の兆しが見えてきたので、友人たちと久しぶりの再会だ。
いつも控えめであまり目立つ存在ではなかった私。
でもその日の女子会では内心少し興奮気味だった。
食事の前に皆で乾杯しよう、とマスクを外して、私が笑顔を見せた瞬間、皆の視線が明らかに私の口元に強く注がれているのを感じたからだ。
会話が進んでお互いの近況報告やらが一通り済んだころ、以前から親しくしていた香織が私に小声で話しかけてきた。
「ひとみの歯、そんなに白かったっけ?とてもきれいだけど何かやってるの・・・」
人は誰かと会った時、ほんの数秒以内で無意識にその人を判断しようとするらしい。しかも93%は外見からの第一印象のものなんだとか。
無意識に目と口元を見て、その人となりを判断する、ということだ。
気心の知れた仲間でもマスク生活が長かったせいで、口元が見える状態になった瞬間、初対面の人に向けられる時と同じ観察眼で見られていたのだろう。
やはり、マスクのある時にホワイトニングを始めておいてよかった。
そう思った瞬間だった。