セカンドオピニオンについて:増加する歯科相談者
多くなってきた歯科のセカンドオピニオン希望者は、毎日いろいろな方がご相談でお越しになる状況です。
歯の治療目的で来院される方だけでなく、「別の病院で治療中だが、この治療はどう思われますか?」というご質問や、「痛みが取れないので今の治療先には行きたくない。何とかしてほしい…」といったお悩みを持つ方が、最近とても増えています。
現在はネット社会で、ご自身でも調べてから来院される場合が多いです。しかし、よくよくお話を伺ってみると、思い込みによる誤解だったり、単なる説明不足が原因だったりするケースも少なくありません。
セカンドオピニオンとよく頂くご質問トップ4
よくいただく歯科関連のご質問トップ4をご紹介します。
- 歯周病の治療っていつになったら終わるんですか?
- 虫歯治療をした後も歯がしみるのが治らないのですが、本当に治っているんですか?
- 噛むと痛い歯があり前医で何でもないと言われたが心配なので調べてほしい
- 矯正するのに抜歯が必要と言われましたがどうなんでしょうか?
1~4は本当によくあるご質問です。中にはメモ帳を持参して記録される方や、ボイスレコーダーで録音される方もいらっしゃいます。こちらも安易なことは申し上げられないと、いつも感じています。
圧倒的に多いのは、説明不足と理解不足です。
「こういう症状が出ている理由はこうだからです。もう少し様子を見てみましょう」
とさえお伝えできていれば、わざわざセカンドオピニオンを求めて来院されなかったかもしれません。
そこで、1番目の「歯周病」について簡単に解説します。
セカンドオピニオンと歯周病:治療はいつ終わるの?
歯周病の治療っていつになったら終わるのですか?という声はとても多いです。
歯周病は重症化しないと症状が出にくく、自覚されづらい特徴があります。そのため、現在は症状がなくても歯周病にかかっている方が多いのです。
しかも、若い世代でも思ったより多くの方が歯周病になっています。さらに、今かかっていなくても安心できません。年齢を重ね病気や免疫力低下などが起きれば、すぐに発症するかもしれません。
昔、歯科大学生だった頃に、1週間歯を磨かないでプラークを各自顕微鏡で見るという実習がありました。
1週間歯を磨かないと歯周ポケットにプラークが堆積し、歯周病菌が繁殖して細菌叢が劇的に変わっていきます。
スピロヘータという細菌がうねうね動き回る様子を見た時は、本当に気持ち悪いと感じました。
ですから、毎日の生活習慣でしっかり口腔ケアをして予防するのが大切です。
そうでなければ、健常者でも歯周病はすぐに発症してしまう可能性があります。
一度治った歯周病患者=健常者ではない
よく誤解されるのは、中等度の歯周病が治療によって症状が治まったケース。治ったように見えても、実際には歯周ポケットが残っていたり、骨が減ってしまっている部分が存在していたりします。
正確には、症状が落ち着いているだけ。完全に元通りというわけではありません。免疫力が低下すると、また歯茎が腫れてきたりする危険性があります。歯科衛生士による定期的なメンテナンスクリーニングが重要です。
でも、痛みも何もないと、歯科に行くのが面倒に感じるのは人情でしょう。治療費もかかります。そもそも健康保険制度の仕組みが分かりづらいという点もあるようです。
セカンドオピニオンを踏まえて理解したい保険制度の変化
日本の歯科医療保険は疾病保険です。病気を治療する場合に健康保険が使えます。
以前は、予防目的の定期クリーニングには保険が効かなかったため、「症状が安定した人を積極的にフォローする」診療所が少なかったのが実情でした。
しかし、国は北欧の予防先進国を見習い、制度を少し変えました。一度中等度以上の歯周病にかかった方が、治療後に症状が安定した状態でも、継続的に健康保険で再診扱い。3か月おきにクリーニングして再発を防ぐという制度です。
詳しくは当院のYouTube動画でも解説しています。よろしければ、そちらもご覧ください。
こうした制度では、かつて歯周病を発症して症状が治まった方に対しても、永遠に治療が終わらないイメージを与えるかもしれません。
しかし、口腔内は細菌との闘いですから、予防治療の一環と考えるならば、ずっとメンテナンスが続くのは当然とも言えます。
セカンドオピニオンで定期クリーニングを徹底しよう
本当の健常者は、健康保険を使ってのクリーニングを受けられません。
そのため、最初から自費でのメンテナンスクリーニングとなります。ただし、美容院感覚で歯の状態を常にきれいにしておきたいという意識の高い方もいます。なので、自費のクリーニング需要は一定数あります。
自費でのクリーニングは、保険でのクリーニングのように毎回検査やレントゲン撮影などは行いません。クリーニングだけに特化して時間をかける方法です。除菌効果の高い水や特殊な機械を使います。そして茶渋などのステインを含むバイオフィルムを全て取り除きます。効率よく歯を徹底的につるつるに磨き上げるのです。
車の洗車にたとえてみましょう。自分で洗うのと、プロがマシーンとコーティングを駆使して隅々まで仕上げる違いのようなものです。
中には、保険適用の3か月ごとのメンテナンスを受けつつ、別途自費のレベル感の高いクリーニングも受ける方がいます。
結論として、歯周病の治療は予防治療と考えれば、一生続くものだと捉えてください。
生きている限り、セカンドオピニオンを有効活用しながら口腔内の健康管理を継続することはとても大切です。
また、当院では歯科情報を様々に発信していますのでぜひご覧下さい。